2016年2月10日水曜日

新生児室を無くすなんて、正気の沙汰ではありません

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Closing newborn nurseries is unethical

私の住んでいるマサチューセッツ州の病院で、産科病棟から新生児室を無くすという非常に残念なことがありました。ラクティビズム(母乳推進)に迎合した、非常に視野の狭い考えです。かといって本来の母乳推進の目的を果たすわけではありません。重要なことは、この決定が倫理的に間違っているということです。
ボストングローブ(Boston Globe氏によると:
この決定は国際的な母乳推進運動の流れにそったものであり、看護士は母子が必要とした時だけ関わりながら健康な赤ちゃんと母子が一日中母子同室で過ごすことにより、育児スキルの向上を目指すものです。多くの周産期関係者がこのような看護方法について疑問を持っており、産後の体力が十分でない母親に対して、必要なときだけ助け舟を出すということは看護方法としては不自然かつ不適切であり、...
女性たちは長時間に及ぶ分娩のあとや、帝王切開のあとも数時間にわたって少しの休息さえも取ることが難しいのに、更にマサチューセッツ病院においては新生児室へ預けることが制限されることに驚きを示しています。いくつかの州では、新生児室を閉鎖することも同時に行っており、ボストンでは、ボストンメディカルセンターが数年前から「母子同室」を大規模に広めています。一般でもこの動きにあわせて、べス・イスラエル ディコネスメディカルセンターも同じ道をたどっています。彼らは総合で一年に11,000以上の分娩を取り扱っています。ブライハム女性病院もこの方針に従うことが予想されています。
 母子同室によって母乳育児率が高まる証拠もなければ、それらしい因果関係もないのです。
国際的な動きというのは「赤ちゃんに優しい病院(Baby Friendly Hospital Initiative)」です。この運動は母乳ビジネス業界で大成功を収めているもので、母乳育児に従わない母親たちを侮辱し、考えを変えさせろという動きです。 この名称である「赤ちゃんに優しい」は、「母乳育児に従わない母親たちの顔をビンタして懲らしめろ」という意味です。この赤ちゃんに優しい病院という証明書は(11,000、およそ日本円で100万円程度)で発行でき、その病院は女性への母乳を与えたくない・与えられない女性へのあらゆる嫌がらせを行うことができるようになります。母乳のメリットをあることないこと大げさにレクチャーしたり、病院内で粉ミルクを入手したり調乳したりできないようにする、家に帰るときに無料の粉ミルクをお土産として渡すことを妨害したりするのです。
「赤ちゃんに優しい病院(Baby Friendly Hospital Initiative)」の間違いとはなんでしょうか?
1. 途上国など、きれいな水が入手できない場合の母乳はメリットしかないということ: 間違いです。効果は全ての新生児のうち、ごく一部の風邪や下痢に限られています。以上。
ほかにも驚くほど宣伝されている母乳のメリットはありますが、本当はどうでしょう?
彼らは調査をもとにしていると言っていますが、交絡因子(=相関関係のどちらにも影響を及ぼす外部要因)の影響を無視した理論は穴だらけで、説得力に欠けます。
2. 母乳ビジネス業界では母子同室によって良好な関係が作れるのが常識であるということ:間違いです。母子同室(24時間、母子が一緒の部屋で過ごすこと)は母乳を促進することにつながりません。「母子同室でなくてはならない」というイデオロギーによって完全母乳を押し付けられた母親は、イデオロギーとして母子同室を行っているにすぎないからです。母子同室によって母乳育児率があがったというデータは存在しないだけでなく、なぜ母子同室によって母乳育児率があがるのかを証明した信頼できる因果関係もないのです。ポリシーによって母子同室を進めることは、赤ちゃんに何を飲ませるかという重要な意思決定を、疲労困憊状態で赤ちゃんの面倒を見るのか、新生児室に預けるのかというわずかな点によって判断させることになります。

3. 母子同室を強いること:安全ではありません。母子同室を安全に行うためには、母親が寝ている間に赤ちゃんを見ている別の人間が必要になります。なぜ別の人間が必要になるのか?母親たちが赤ちゃんをコットに乗せようとしても(帝王切開後、会陰切開後、後陣痛等で)持ち上げられないことがあるでしょう。なので仕方なく赤ちゃんを母と同じベッドで寝かせようとします。これが非常に赤ちゃんの死亡する原因になりやすいのです。また、寝具が柔らかいことも(病院のベッドのような)危険ですし、産後の疲労困憊状況、朦朧とした状態、うとうととした状態(帝王切開のあとや、会陰切開のあとに投与される鎮痛剤の影響による)、これらは乳幼児突然死の原因と関連しているのです。

このような事故は病院で実際に発生しています。健康な赤ちゃんが死亡しているのです。ベッドから落下させてしまう事故や、窒息事故を起こしてしまうなどです。周産期ジャーナル2014.4に発表された論文「母子同室による産科病棟内の健康な新生児の死亡・仮死」によると:
早期皮膚接触中にアメリカ国内の産科病棟内で発生した15件の死亡と、3件の仮死について報告する。我々の発見は報告されていない事故の存在を示唆するとともに、これらの事故は防ぐことができたということを示唆している。
15件の死亡と3件の仮死とは、どのような原因があったのでしょうか?
うち8件で、母親は授乳中に眠りに落ちていた。4件で、母親が眠りから目を覚ましたときに 赤ちゃんは眠っているものと思っており、同伴者が赤ちゃんが死んでいることを発見した。1つ以上のリスク要因が見つかった、もしくはリスク要因が疑われた(肥満や、おひなまきにされていた)場合は、全てのケースにおいて母子同室のリスクがはるかに上昇していた。リスク要因に含まれるものとしては(中略)7ケースで母体に薬が投与されており、母親の疲労倦怠感が非常に強かった。12ケースで出産から24時間に発生していたことが確認もしくは推定されている。9ケースで柔らかいベッドや枕が要因となった。2ケースで肥満、2ケースで母親の喫煙、4ケースでおひなまきにされたことが要因とされた。
 ラクティビスト(母乳推進者)たち、母乳を特権化させる女性たち、このような人たちを想像してみてください:

病院内で、いっしょに赤ちゃんの世話をするために仕事を休んで時間をとって駆けつけてくれるパートナーが他にいたり、十分なお金を持っていて上の子を面倒もみてくれるベビーシッターを雇える人たちを。あなたたちが支持しているのは、こういった人たちなのです。
しかしほとんどの女性は、眠る間も赤ちゃんを新生児室に預けることもできずに、長時間の分娩の後の産後の疲労困憊状態でも、会陰切開の傷の痛みがひどくても、鎮痛剤の影響で極度の眠気に襲われていても、一人で赤ちゃんの面倒を見る責任を負っているのです。
新生児室を閉鎖することは単に、女性が回復するための時間を奪うことにしかなりません。
自分の腕のなかで赤ちゃんが死亡するリスクを、理屈をつけて女性に押し付けているだけなのです。到底、正気の沙汰ではありません。

誰も母子同室を妨害しようとはしていません。もしもラクティビスト(母乳推進者)が自分の赤ちゃんを24時間、自分の病室で面倒を見たいというのなら、喜んでどうぞやってください。しかしそれでは不十分というのでしょう、ラクティビストたちは他人がなんと言おうと、他人の赤ちゃんを母子同室するよう強制したいのです。
そして根拠のない母子同室を進め、母乳推進のためなら根拠のない理屈をを平気で宣うのです。

どのような宣誓を立てても、赤ちゃんの死亡を防止できないなら、結局は「赤ちゃんに優しい」わけもなく、「お母さんに厳しい」のです。
一体、誰が新生児室を閉鎖しようとしているのでしょうか?「赤ちゃんに優しい病院」は本当なら「ラクティビストに優しい病院」と呼ぶべきでしょう。なぜなら赤ちゃんに優しい病院の方針は、ラクティビストの要求にこたえるものでしかないからです。病院が赤ちゃんの面倒を見るのに十分な看護士を雇わず、経費削減をしたいだけであれば、「ラクティビストに優しい病院」という名前で十分でしょう。これなら母乳を特権化させたいラクティビスト達にとって、お金のない女性とその子供の出費を減らすという便利な言い訳ができるでしょう。

どれだけラクティビストにとって”都合のいい”ことか!!

どれだけ危険なことか!!

どれだけモラルに反したことか!!

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