Warning: vaginal seeding doesn’t work and may be harmful
最近の自然出産ビジネス業界で流行っているのが、経膣”感染”、赤ちゃんの口を母親の膣内分泌物でぬぐうというものです。
理屈は「帝王切開は赤ちゃんから母の会陰から常在菌をもらう接触の機会を奪っている」というもので、赤ちゃんの口に母親の会陰にいる常在菌をふれさせ、常在菌を「取り戻す」というものです。
自然出産業界で推進されていることは、彼らのマーケットシェアをあげるための活動で、科学的根拠はありません。
ここで2つの問題があります:
1. 赤ちゃんを母親の膣内バクテリアに触れさせることの有効性について科学的証拠がない
2. 赤ちゃんが母親の膣内バクテリア・ウイルスにさらされた場合、深刻な病気や命にかかわるケースがあるという有力な証拠がある。
これらの警告が、イギリスのメディカルジャーナル(BMJ)の記事の中では深い霧に包まれてしまっているようです。「帝王切開で生まれた赤ちゃんの”経膣感染”」著者は医療専任講師のオーブリー J カニングストン(Aubrey J Cunnington)、医療研究員のキャサリン シム(Kathleen Sim)、新生児科医コンサルタントのアニコ デイアー(Aniko Deier)以下略 ...が名を連ねています。
人間についている微生物叢は健康を左右することがある、ということが論文の根拠として挙げられていますが、経膣感染による新生児へのメリットは その限りではありません。 確かに、証拠を出すには、何年もかけて経過観察を行う大規模な医学的実験を必要とします。 たとえ新生児に対するメリットについての明確な証拠などなくても、シンプルで安価な手順で、妥当な結果を得られるに違いありません。しかし私たちは、この主張が安全であると確信することができます。
私たちは現段階で欠落しているものがあります、無自覚の感染症を持つ母親が、赤ちゃんを膣内共生菌や病原菌にさらした場合、赤ちゃんは深刻な伝染病になるでしょう。この場合B群連鎖球菌(新生児の敗血症を引き起こす原因として最も一般的なもの)、単純ヘルペス、クラミジア、トリコモナス、淋菌(最後の二つは、新生児性眼炎の原因)。これらの 病原体は、産道を通る時に赤ちゃんに移ります。これを回避するために、帝王切開を選択することもあります。
言い換えると、経膣感染が赤ちゃんに有用であるなどという証拠は一切ないのです。またかなりの量のエビデンスを取ろうとすれば、赤ちゃんを死の危険を含めた重大な危機にさらすことになるでしょう。実際、経膣菌によって赤ちゃんの伝染病による死亡を引き起こしているのですから。
「膣内菌を赤ちゃんに移行する」ことを薦める彼らの根拠はどこから来たのでしょう?自然出産ビジネスのコミュニティーの、映画「ミクロバース」を通してです。
この経膣感染についての問題は、自然出産の世界で特有の、「ほとんど根拠の提示を無視して、結論を出してしまう」というパラダイムにあります。
アンチ医療は素晴らしい、経膣分娩こそがもっとも優れている、という哲学なのです。なのでほとんどは「産科的な対象実験を行っていない」のです。これがジェンダー学者 アナンダールとクラークが現代助産学を描写するところの「自然出産哲学の絶賛」の重要な点なのです。
代替医療は、それを表すため強力で魅力的な他の言葉で呼ばれることがあります。同時に中央集権的な性質を持ちます。(”女性主体の””女性のコントロールする”自然な出産、のような) 実践的な意味合いを最小限にし、あいまいな言葉でけむに巻くためです。
単純にいうと、近代の助産学はただの産科医への軽率な反抗なのです。産科医が進めることはなんでも、助産師は真向から反対します。近代の自然出産信奉者は、毎日が反抗の日なのです。
産科医は医療行為によって出産を安全にしてきました;自然出産信奉者は、産科医が関わる前からあたかも出産が安全であったように装っているのです。
産科医は無痛分娩を提案しますが、自然出産信奉者は抵抗します。痛みがあってこそ困難を乗り越えられる、乗り越える勇気さえあれば出産は安全にできると、他人を使って実験しているのです。
産科医は新生児科医が即座に健康を確認できるよう赤ちゃんをきれいに拭きますが、自然出産信奉者はカンガルーケア(早期皮膚接触、SkinToSkin,など)で母親と赤ちゃんが出産直後にまずは触れあうことが、人生にわたっての絆を作るのに不可欠だと言っています。
産科医は帝王切開をすることができますが、自然出産信奉者はいかなる場合、どんな理由があっても帝王切開に抵抗し、「帝王切開の割合が高すぎる」とデモ活動を行っています。帝王切開は「アレルギー、自閉症、糖尿病、高血圧、、、などになる」、「帝王切開は内臓やDNAにダメージを与える」と言い張っています。
自然出産信奉者の主張は単純なものだけに限りません。なぜ彼らはそうなってしまったのでしょうか?自然出産のマーケットシェアを維持するためなのです。
マーケットシェアの主要を占めるのは産科医です。これは助産師や自然出産信奉者と経済的に競合していますが、自然出産信奉者は自分たちがマーケットシェアを広げているのだと考えているのです。
経膣感染は自然出産信奉者のデモ映画「ミクロバース」で有名になりました。どんなテーマでしょうか?
…私たちは赤ちゃんが細菌叢にさらされることは、すべての人のバースプランに入っているべきだと思います。もし経膣出産が不可能なら、産後すぐにカンガルーケア、Skin-To-Skin,母子同室、早期皮膚接触などで母乳を与えることで主要な細菌叢が赤ちゃんの免疫系に作られます。科学的な視点からいうと、(?※訳者注:実際に科学的かどうかエビデンスなし) 赤ちゃんの生後すぐに細菌叢ができたら、これは赤ちゃんの人生に大きなよい影響をもたらします。継続的に、ミクロバースは健康に潜在的にも、エクストリームな重要性を持っていると私たちは信じています。人類の未来にとっても重要です!!
ミクロバースを謳っている「私たち」は誰で、「私たちは信じています」と言っているのか??これは新生児の腸内細菌叢の構成について科学的コンセンサスがないにも関わらず、一人歩きした理論です。これは新生児科医と小児科医が細菌学によって確立していない腸内細菌叢のすべてについて「信じ」ようとしなかったことと同様に、産科医も懐疑的です。
「私たちは信じています」の「私たち」は自然出産信奉者で、産科医に対する反抗でほとんど調査をしていない科学を推進しているのです。同様の理由で自然出産信奉者は経膣感染を推奨しています。
経膣感染を推進する科学的根拠はどこにもありません。あるのは、マーケティング戦略的に用意された科学と完全に分断された「科学っぽく書かれた記述」のみです。
BMJの著者はこう言います:
効果に関する根拠がないこと、または安全な手順に関するガイドラインがないことについてだが、逆にどのくらい医療関係者が経膣感染の需要が高まっていることに対応すべきということではないだろうか?私たちはスタッフに、有効性に関する議論もなしに、小さなリスクが正当化されることがあってはいけないので経膣感染は行わないよう伝えてきた。しかし、経膣感染を母子が簡単に彼等だけでできるよう単純化し、また彼らにリスクなどの十分な情報を与えることで、彼らの自主性を尊重できると考えたのである。
両親はリスクや感染に関して医療者のアセスメントを行い、経膣感染を行うことで赤ちゃんがよくない状態になることも知らせる必要がある。健康に関するプロフェッショナルは経膣感染が一般化してきていることを両親に気づかせ、もし伝染した場合新生児がどのようになるかについて尋ねることが期待され...
私は疑問があります: 両親は、子供を産む前に自然出産業界について知ることが必要です。この業界はまったく規制されていないのです。ほかの規制されていない業界と同じです。自然出産信奉者が薦めることは、科学的根拠は全くなく、ただ彼らのマーケットシェアを上げるためだけに行われているのです。
両親は他の業界に対する態度と同じように、自然出産業界について同レベルの警戒、懐疑的姿勢を持った方が良いでしょう。たとえば太陽光発電についての不利な情報を、石油業界から受け取るべきでないようなものです。経膣感染、腸内細菌叢についての情報を、自然出産ビジネス業界から受け取るべきではありません。