Title : [Death and near deaths of healthy newborn infants while bed sharing on maternity wards]
BT thach
研究目的:
母子同床(Bed sharing)の推進プログラムを評価し、リスクを減らす方法を確立すること。
研究手法:
国家医療評価機関のメンバーへ、母子同床による死亡・仮死の情報の報告を要請。
調査結果:
死亡した15件と、仮死の3件が報告されている。1つ以上の要因があれば、母子同床のリスクが上昇することが全ケースにおいて言える。
ほとんどのケースで、予期せぬ窒息がもっとも大きな原因であった。
結論:母子同床中の新生児の死亡、仮死については依然として報告件数が増えている。
アメリカ乳幼児学会と疾病管理予防センター(American academy of pediatrics and the US Center for Disease Control and Prevention)などが施行する「赤ちゃんにやさしい病院(BFH:
The Baby friendly hospital initiative)」で、母子同床と継続的な早期母子接触(STS: Skin to Skin)を強く推奨しているためである。
これらの危険性について、母親達の認知度を向上させ、リスクを減らすための効率的なモニタリングを行うことが母子同床における重要な点である。
導入:
母子同床が新生児にとって危険であることはよく知られているが、それにも関わらずアメリカ国内で新生児が入院中の病院で母子同床中に死亡したり、仮死状態になる事故が、注目を集めている。(最近報告された一件の死亡、二件の仮死を別として)
最近において、酷似した死亡と仮死がヨーロッパとイギリスで報告されている。この事故や事件は正期産1000件のうち4件も報告され、非常に高い数字となっている。
これらの事故は出産から24時間以内に、母親と新生児の間で行われる”早期母子接触(STS:Skin-to-Skin)”の間に発生している。この行為は、アメリカ乳幼児学会と疾病管理予防センター(American academy of pediatrics and the US Center for Disease Control and Prevention)などが施行する「赤ちゃんにやさしい病院(BFH:The Baby friendly hospital initiative)」が授乳をサポートするために推進されている。我々はアメリカの産科病棟内で健康な新生児が早期母子接触中か母子同床中に発生した15件の死亡と3件の仮死について報告する。
我々の発見は、アメリカで過少に報告されているこのような事件・事故は防げるということを示している。
我々はもっと安全に母体と新生児が親密に触れ合い授乳できる方法を提案する。
手法:
2011年に、病院で母子同床中に死亡した新生児の情報を、国家医療評価機関のメンバーへ、Listserv(メーリングリスト)利用しメールで問い合わせを行った。
疾病管理予防センターについても同様に、予期せぬ新生児死亡について問い合わせを行った。
情報は個人を特定する情報を削除したのち、15件の死亡について転送されてきた。
3件の新生児仮死についての情報は、当初要請していなかったにも関わらず、メンバーの同僚や、我々の関心に気づいた他の人々から寄せられた。情報は死亡報告書を含んでいる。また病院の入院記録や他の情報源を含む。(表1)この調査は研究対象者組織委員会の承認を得ている。
結果:
データは表2に示す。全ての新生児は事故発生前に健康であると診断されていた。新生児の平均年齢は23.9時間だった(1.15時間〜3日)。
中央値は14.75時間(±5と45.75時間)
うち10ケースで母親の分娩が最小限の複雑さだった。
13ケースは出産経験のデータがあり、うち7ケースで初産婦、6ケースで経産婦だった。
アプガースコアが入手できた16ケース全てが通常の範囲内だった。
医学的調査や医師の診断では、うつぶせ寝(1件)、乳幼児突然死症候群(1件)、原因不明(8件)、窒息(5件)、2件の仮死では深刻な神経学的後遺症が残った。
8件で、母親が授乳中に眠っていた。4件で、母親は眠りから覚めたときに新生児が眠っていると思っており、同伴者が新生児の息がないことを発見した。
単独もしくは複数のリスク要因が認められると、リスクが跳ね上がることが全件で認められた。
乳幼児が4ヶ月未満である全17ケースのうち、7ケースで産後の治療目的で薬を服用しており、12ケースで問答無用で産後疲労が著しい産後24時以内に発生していた。
9ケースで枕や柔らかい寝具が使われていた。2ケースで母親が肥満、2ケースで妊娠中の肥満、4ケースで乳幼児はおくるみにくるまれていた。
(表2の6,10,12,16)
母子同床のリスクを下げるとされていた要因は殆どのケースで存在した。新生児が死亡か仮死に陥った時点において、4ケースで母親が目覚めており、10ケースで母親以外の誰かが部屋にいた。
ディスカッション:
このデータから、報告された全ケースでの新生児死亡もしくは仮死は予防が可能だったことが分かる。
6ケースで、新生児代謝異常が通常のスクリーニング検査で検出されず正常と報告されているが(表2) これらや他の新生児についても、状況的な証拠から窒息が最も有力な死因と考えられる。それゆえ、遺伝的な代謝障害が関係したとはここでは考えにくい。
海外からの報告があったにも関わらず、多くの産科病棟の人々や新生児科の医師は母子同床による窒息のリスクに気づいていない。
3件の窒息による仮死のケースでは他の診断結果とされており、2件の(17,18)母親は当初、意図的に新生児を窒息させた稀なケースとされていた。
うち1件では(17)"報告によると児童保護団体へ通報されたという。
ヨーロッパの文献でいくつかの著者が、母親の胸や脇に新生児の顔が触れることによる気道閉塞発生のメカニズムについて言及している。
我々の研究では、8人の新生児が"胸の上で"見つかっている。これらは以前、授乳中の気道閉塞が死因とされていた。
気道閉塞による障害物からの離脱反射は、母親の反応か新生児の首の伸長、もしくはその両方によって起きる。
側臥位(Recumbent)での授乳では、もし新生児が胸から離そうとしても母親の腕や手に阻まれるため更に窒息のリスクが高まる。
ここに挙げた事故は実質的にはこのような原因を過去数年に渡って調査中だった。
我々は仮死の情報についてはリクエストしなかったが、ここにある3件については我々の趣旨に気付いた個人によって明るみになった。
以前の仮死についての報告は実際の死亡報告の2倍ほどあった。
それだけでない。4件の死亡ケースについての情報は医療調査委員会メンバーから報告されていなかったが、我々の趣旨を知った両親か知人によって情報がもたらされた。
死亡の4件は、情報を要求したにも関わらず我々の手に入らなかったのである。
このような死亡もしくは仮死に至った事故の情報を知るためには、公共保険機関へありのままの報告を義務付けるべきだ。
生後24時間以内に発生した事故について、以前発表された報告書によると、最新の研究で入院中の新生児は死亡か仮死のリスクにさらされていることがわかった。
赤ちゃんに優しい病院(BFH)は"お母さんが生後1時間以内に授乳できるよう応援する"を目標としている。
これを実行するために、アメリカの小児科学会では母親との早期母子接触(skin to skin contact)を産後すぐから周産期を通して行うよう指導している。
赤ちゃんに優しい病院(BFH)では、母親と新生児が母子同床を行い、間隔の制限なく、最低でも10-12回/24時間、欲しがるだけ授乳を行うよう指導している。それに加え、国家児童基金は母子同床を推奨している。
これらの推進派が、特に帝王切開や他の理由により授乳のために頻回にベッドを離れられない母親に対して母子同床を長時間行わせる結果になっていると考えられる。
一部の専門家は母子同床のリスクはいくつかの例外はあるにしても最小限と見ており、これは母親が新生児をベッドから連れていくことを要望しても、看護師はそのために時間を割かないことも示している。
(ケース10)
アメリカの 150の病院はすでに"赤ちゃんに優しい病院(BFH)"の証明を取得しており、更に多くの病院が取得に動いている。アメリカ小児科学会と疾病予防管理センターは国内での"赤ちゃんに優しい病院(BFH)"の数を増やすことを止めている。
この早期母子接触(skin to skin contact)は母子の絆作りに有益と見られているが、"赤ちゃんに優しい病院(BFH)"の方法論は、病院の介入を減らし母乳率を上げていると報告されている。
ここで重要な疑問がある: 病院内の母子同床を安全に行うことは可能か? 病室で母親以外の第三者がリスクを減らすことができそうだが、10件の死亡もしくは仮死が起こっている事例では室内に第三者が存在した。
うち3件では室内が暗いか、ごく薄い灯りだった。他の多くの事例においても、状況から察するに新生児が無事であるかどうかの観察を阻害する要因があった。
それに加え、4件では事故発生時に母親が起きており、このことから意識がはっきりしていても完全に防ぐことができないことが分かる。
以前報告のあった死亡もしくは仮死のうち20%では、母親が起きている間に発生している。
アメリカでは、母子同床の間の授乳は母親が目を覚ましている限り安全としており、イギリス国家児童基金"赤ちゃんに優しい病院(BFH)"と意見を同じくしている。
以前の、そして最新のレポートでもこれらは出産直後だけの話ではないことが分かっている。
看護師によるベッドの頻回見回りが5分〜10分間隔で行われるべきと"赤ちゃんに優しい病院(BFH)憲章"の記述にあるが、死亡事故は数分のうちに起こることもあり、死亡や傷害を防止するにはこのような見回りが続けられる必要がある。
我々は院内での新生児の安全性を向上させるための提案がある。
第一に、医療者が母子同床(Bed sharing)や早期母子接触(Skin to skin contact)の危険性に気づくこと。母親は皮膚の色や刺激に対しての反応があるかによって新生児の呼吸を確認する方法を知らされるべきだ。更に、それらを間近で確認するのに十分な室内の照明があること。
母親が新生児と接するすとき、母親の意識が明瞭なことを確認するだけでなく新生児の観察についてもトレーニングされた人物が、一対一で見守ること。
多くのケースで、看護師はこの義務を負うことができないだろう。
以前推奨されていたのは、特に産後2時間は間近での観察が必要ということだった。しかし、最近の研究では入院中を通して、新生児が母親と過ごす時は観察が必要とされていることを示している。
複数のケースにおいて、親族や友人がその役割を担うだろう。他の方法としては、アラームのついた電子モニター(心拍数か血中酸素濃度) がナースステーションで監視できると良い。偽のアラームで両親が煩わされないように。
これらは、母親と接触中の新生児の相当数の保護に貢献するだろう。
まとめると、"赤ちゃんに優しい病院(BFH)"憲章は、小児肥満症よる事故減少など、複数の観点から新生児のためになる。
しかしながら、広範囲に渡るあらゆる健康被害について、逆効果であったケースのモニタリングと、実態に沿った見直しを行うことが必要だ。
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